「ケータ?」

あたしは薄暗い画面に向かって話しかけた。


『おー!エーコ!すげー、ちゃんとエーコが映ってる!』

ケータの声がイヤホンを通して聞こえる。

これがアメリカから通じてるかと思うと、なんだか不思議な気分だ。


「あたしは映ってるけどさ〜、ケータは暗いよ!?どこにいるの?部屋?」

せっかく顔が見れると思ったのに…あたしはもどかしくて仕方ない。


『わりぃ!なんかさ、今ホスト先(ホームステイ)の部屋なんだけど、ここのお母さん、ミーザンって言うんだけどさ、そのミーザンが《電球買い忘れたからとりあえず暗いままで我慢して》だって。マジありえねーし!ちゃんと買ってきてくれるのかなー!暗いから勉強も出来ない。』

そう言いながらケータらしき影が、もぞもぞ動き始めた。


「マジかー!大変だね!!てか、英語通じたんだ!?凄いね!」

あたしは、ケータの口から『ミーザンが…』なんて、外国人との会話の話題がでて、なんだか凄く興奮した。

『う〜ん、正直通じねーよ。何言ってるか分かねーし。やっぱり日本で英語習ったってダメ!!本場は違う。……おっ!届くか?』

ケータは、あたしに返答しつつも何かを動かしていた。

すると、小さいライトを机に置いた。