荷物検査が終わり、手軽になったケータはあたしに歩み寄った。


「一通り終わったから!待っててくれてありがとうね」


ケータは時計を見ると、あたしの手をひいた。


「少し時間に余裕あるから、煙草吸うの付き合って!喫煙室は入りたくない?」


「入る!!全然大丈夫!!」

二人で喫煙室に入った。




「ケータ、あたしってどこまで着いていけるの?」


「う〜ん、多分このフロアまでかな。」


「そっか…よくテレビとかで、飛行機乗る手前で見送ったりしてるけど、実際行けないんだ…」


ケータは強く手を握った。

「エーコ…」



あたし達はそれ以上何も話せなかった。




しん、とした小さな空間。

煙が立ち込める中、あたしは黙ってガラス越しに行き交う人々を眺めた。



「じゃ、もうそろそろ行こうか…」

「うん…」