空港は、大勢の人が居た。

広くて綺麗な空港内は、賑やかにざわついていた。




楽しそうに歩く家族。


幸せそうな恋人達。



忙しそうなサラリーマン。




きっと、旅行や仕事で旅立つ人達だ。





良いなぁ…


あたし達も、二人手を繋いだまま一緒に飛行機に乗れるなら…

幸せで仕方ないね。







だけど、違う。




ケータだけ行ってしまう。



あたし一人で帰るんだ。




寂しくて寂しくて、あたしは何度も涙ぐんだ。



ケータは、いろいろな手続きがあるから一人忙しくしていた。



予約してあったチケットを手配したり、荷物検査に並んだり。


荷物検査で、あたしも一緒に並ぼうとしたら、係員に止められてしまった。


あたしが荷物も何も無いのを見ると、

「あなたは、飛行機乗られませんよね?関係無い方は入れませんので、あちらでお待ち下さい。」

と、無情にもあしらわれてしまった。





あたしは一人になり、遠くからケータを眺めた。




ケータ…


すでに遠く感じるよ。



ケータの背中…

もう、届かない気がして…



何度も景色が、涙で揺れる。




ケータ…



もう、行ってしまうんだね…