とにかく、この二人が合わないのは「立証済み」。

たまにこうして誘われるなら、喜んで引き受けるのだが。



だけど…


やっぱり納得出来ないステージだったみたいだ。






「確かにさぁ、あたしもそれは分かったよ。聞いてて、あぁこれがテツの暴走ベースねって。ギターに合って無いし。何よりケータのやりたい音じゃない。ケータ結構合わせて弾いてたでしょ?それは、気付いたよ…」


一応、あたしも音楽が好きな一人だ。

それぐらいちゃんと気付いていた。




けど…





「やっぱりステージでのケータはカッコイイよ!!弾いてる姿もオーラがあった!!堂々としてて、初めてのライブハウスデビューな割りには、全然ギターの立ち姿も様になってたし!!」


そう、本当の事だ。
ケータは素晴らしいギタープレイをしていた。


「うまくいかなくて嫌だろうけど、見ているこっちには乱れたプレイ感は伝わら無かったよ。あたしは色々知ってるから気付いたけど、皆からしたら、カッコイイ演奏だったに違いない!!!」




必死のあたしの訴えに、ケータは笑顔になってくれた。


「エーコはやっぱり分かってくれてるんだな。ありがとうね。」


「だってカッコイイもん!!さすがファン1号は見てるでしょ?」


「うん!さすが!!」


ケータとあたしは、手をグーにして、コツッと軽いパンチをした。


「じゃ、俺片付けあるから!」


ケータは、また薄暗い影に隠れて消えてしまった。









『エーコはやっぱり分かってる』



この言葉が、すごく嬉しかった。


ありがとね、ケータ。


あたし、ケータの事ならなんでも分かるよ。


もしかしたら、ケータが気付かないフリをしている部分もね。





全部、分かってるの。




好きだから。





毎日、あなたの事考えてるから。