「難波。ちょっと良いか」



「何?神楽が何の用?」



通常業務に戻り、数日が過ぎた。

イタズラ電話に、つきまとわれてる感が変わらず続いてるけど、みんなのお陰で仕事は出来てる。

贈り物も、誕生日だけでなく2~3日に1回は来るようになったけど、もう見ずにほかってる。

気にしないようにと過ごして来たのに、いきなりやって来た神楽は、私に1枚の写真を差し出して来た。

私と斗志樹が車に乗り込む後ろの植木から、帽子を被った男が覗いてる。



「話聞いてたから、もしかしたらこの女かと思って撮った」



「……女……?」



「俺も男だと思った。けど、こいつが帰る時に後ろ姿を見たら、髪をアップにして纏めてた」



「……でも、電話は……」



写真は離れた位置から撮られてるせいか、男と女の区別がつかない。

先入観から男だと思ってたのに、この写真に写るのは神楽曰く女。



「貴方、それどういう事?電話や贈り物の差出人とはまた別に誰か主任を?」



「わからない。難波、ストーカーについて研修を受けた時、教官が言ってなかったか?狙った相手のパートナーを傷付ける可能性があると」



「…………」



聞いた事はあったけど、それは斗志樹が元々はストーカーされてるって事?

今までそんな兆候――……1人、居る。