「ずっとつけられてるって事?」



「わからない。知らない……」



「愛依、1人にならない方が良いかもね」



「だからさっき、お父さんも同居を考えた方が良いって……」



「良い案かもな」



母親より先に斗志樹が頷く為、目を丸くしながら目を見合わせた。



「1階と2階で2世帯にしても良いし。俺が居ない時は、1階に泊まって」



「良いの?嫌じゃないの?」



「俺が居ない時は、お義父さんに守って貰えば良い」



「……同じ事、言ってるよ;;」



斗志樹の意見に苦笑いをしながら父親を見ると、表情を崩さないわりに、動き出した。

テレビ台にしまわれてた、この家を建てた工務店の資料を出して来た。

電卓を片手に、メニュー表で料金を計算してる。

さすがに外階段や人件費などは載ってない為、あくまでも勘で割り出してるようだが、まあテレビとかで見る相場の数字は出せたのだろう。

満足気に斗志樹に電卓を見せる。



「言い出したお父さんが出すんじゃないの?」



「は?割り勘に決まってるやろ」



…出た出た;;

関西人のケチさ。

関西を出て歳の半分は経った筈なのに、関西魂は抜けず。

仕事では標準語を使うようになってたのに、家では関西弁。

戻る気はなく家もこっちで建てたのに、この人は何を考えてるのか。

母親でも、わかってないだろう。