ストーカーならだいぶ前に研修を受けたけど、過去の事例も様々な始まり方なせいか、自分ではこれがストーカーなのかまだわからない。



「斗志樹の辞令はまだ出てへんし、どうなるかもわからへん。けど、同居考えるか?」



「同居?」



「斗真は長男やし、難波の人間やけどあいつは男や。自分の身や家族を守る力がある。けど、お前は女や。いざとなれば男が強い。斗志樹が居らん時は、親である俺がお前を守るしかないやろ」



「そうだねー……」



けど、それで斗志樹が窮屈に思ってしまったら困る。

父親の気持ちは嬉しいけど、私だけで決められる話ではない。



「ただいまー」



曖昧な反応しか出来ずに居ると、斗志樹を送り届けた母親が帰宅。

私の鞄に車のキーを戻してると、何故か斗志樹まで戻って来てた。



「あれ?別々で戻って来るんじゃなかったの?」



「止めた。どうせ明日はどっちも日勤だし、一緒で問題ないだろ」



「まぁ、そうだけど」



旦那とは言え、こんなに気を使わせてしまって良いのだろうか。

私に合わせて残業をしないかも知れないのに。



「何?これ」



「……気付かないでよ」



リビングとダイニングの真ん中にあるゴミ箱に捨てた破った手紙に気付いた母親。

私ふ溜め息を吐きながら、斗志樹にも手紙について説明。