静かな空気が私たちを包みこむ。


他の人ならこの雰囲気に耐えられないかもしれないけれど、一人が好きな私には苦ではなかった。


その空気に身をゆだねていると。


「やる」


不意に奴が口を開いた。


突然何なんだ、言った言葉も訳が分からないし。


そう思った瞬間。


口の中に硬くて丸いものが押し込められた。


……なにこれ、飴?


「それ、俺が今気に入ってる飴。美味いだろ?」


「ああ、まあ」


口の中でそれをコロコロと転がしながら答える。


甘すぎないリンゴの味が口いっぱいに広がっていく。


好きだな、この味。