「あ、そういえば今日返却日だったっけ」 机の中から取り出した一冊の文庫本を見て呟く。 それからはみ出した細長い紙に書かれている文字は、確かに今日が返却日だということを示していた。 ……仕方ない、返しに行くか。 期限を過ぎると色々と面倒なことになるし。 私は文庫本を鞄に入れると、喧騒から逃れるように教室を後にした。