「やっぱり美味い」


私から取り上げた飴を舐めながら奴が呟く。


真っ赤になっているだろう私の顔とは対称的に、奴は普段と変わらぬ顔色で。


それが、私だけがそれを意識してるような感覚にさせて。


なんだかいたたまれなくなった私は、家の方向へ走り出した。


いつの間にか雨は小降りに変わっていた。


後ろから奴が何か言っているような気がしたけれど無視して、ただただ全力で走った。


心臓がいつもよりずっと速く拍動する。


それが走ったせいなのか、それとも何か別の理由からかは分からないけれど。


ふと空を見上げる。


山に架かる虹が空を鮮やかに彩っていた。






飴のち、×××
(無意識って罪だと思う)