夜、俺たちの住む宿舎に
引っ越してきたばかりの
又三郎と連れ立って、
少年宿舎に行った。
子供の消灯時間を少し過ぎていた。
少年宿舎の管理をしている者は
別の棟にいた。
見つからないように忍び込む。
こつこつ。
博士の部屋の窓をたたいた。
「でてこないね。」
声を殺して又三郎が言う。
窓をたたき続けると、
やっと博士が顔をのぞかせた。
「ミゲーレ!それに又三郎。
君は今日からあっちの宿舎だろ?」
「やあ。博士。
今夜はミゲーレが幻灯をやってくれるんだって。」
「おお。そうか!
いつやってくれるのかと思ってた。」
入れ入れと言って博士は窓から俺に手をのばした。
なんだか、初めに会った時より頼もしくなったようだ。
「ここでやろう。
静かに、みんな集まってくれ。」
俺は博士たちの部屋の真ん中に座り、
幻灯の準備をした。
久しぶりだ。
少年たちが部屋に集まってくる。
静かな中にも密やかな興奮に満たされる。
「みんな来たか?
あの時キャラメルをくれなかった奴も
観たかったら観ていいぞ。」
「早くやって。」
又三郎が俺のそでを引っ張る。
こいつはまだ無邪気だ。
「よし。おまえらが好きそうなやつをやってやるな。」
俺は目を閉じた。
「ここは、はるか東の国の、巌流島だ。」
部屋が海面で満たされる。
「わあ。」
それだけで子供たちは静かな歓声を上げた。
引っ越してきたばかりの
又三郎と連れ立って、
少年宿舎に行った。
子供の消灯時間を少し過ぎていた。
少年宿舎の管理をしている者は
別の棟にいた。
見つからないように忍び込む。
こつこつ。
博士の部屋の窓をたたいた。
「でてこないね。」
声を殺して又三郎が言う。
窓をたたき続けると、
やっと博士が顔をのぞかせた。
「ミゲーレ!それに又三郎。
君は今日からあっちの宿舎だろ?」
「やあ。博士。
今夜はミゲーレが幻灯をやってくれるんだって。」
「おお。そうか!
いつやってくれるのかと思ってた。」
入れ入れと言って博士は窓から俺に手をのばした。
なんだか、初めに会った時より頼もしくなったようだ。
「ここでやろう。
静かに、みんな集まってくれ。」
俺は博士たちの部屋の真ん中に座り、
幻灯の準備をした。
久しぶりだ。
少年たちが部屋に集まってくる。
静かな中にも密やかな興奮に満たされる。
「みんな来たか?
あの時キャラメルをくれなかった奴も
観たかったら観ていいぞ。」
「早くやって。」
又三郎が俺のそでを引っ張る。
こいつはまだ無邪気だ。
「よし。おまえらが好きそうなやつをやってやるな。」
俺は目を閉じた。
「ここは、はるか東の国の、巌流島だ。」
部屋が海面で満たされる。
「わあ。」
それだけで子供たちは静かな歓声を上げた。