師は胸を
一刀両断にされていた。

眼は閉じられていた。

俺はオーベール師の
こうべの脇に正座をした。

ゆっくりと、
師の皮の帽子をはずした。

大天使ミカエルに
突かれたという
額の穴が現れた。

それはただの穴だった。

ある時、
それは第三の眼だった。

その第三の眼で、
修道士たちの
本性を見抜いた。

おそろしい眼だった。

「オーベール様、
私を見てください。

私の罪を見てください。

私を罰してください。

私を省みの部屋に
送ってください。


私が、みんなを殺しました。
自分が愛する
又三郎だけを助けるために、
その私利私欲のために、
みんなは死にました。

私を裁いてください。

私は、私は、

この大聖堂を見て、
このみんなの、仲間たちの、
無残な骸を見て、

何も、

何も感じないんですよ。



悲しいとも、
苦しいとも、

感じない。

涙も出ない。

罪悪感もない。


どうしてですか?

何で私は
何も感じられないのですか?

どうしてですか?

俺は悪いことをしたんだ。
みんなは
俺のせいで死んだんだ。

何で何も感じないんだ!」

いきなり襟元を
後ろから引き上げられた。

首が絞まる。

何者かが、
俺を立ち上がらせた。

眼前に、男がいた。

束ねた黒髪が
四方八方に広がっていた。

瞳も黒かった。

まぶたを半分閉じ、
俺を見ていた。

「いつまで骸と
お話してるんだよ。」

俺はぼんやりと
そいつを見ていた。

「おまえがミゲーレだな。」

そうか、
こいつは無名の言っていた
ふたごの片割れだ。

「連れて行け。」

男が言うと、
周りの雑兵どもが
俺を後ろ手に縛った。

気づくと、
周りは蛮兵で
いっぱいだった。