無名は俺の髪を
そっとかき分けた。
そしてまた
耳元にささやきかけた。
「我々の帝軍は、
大陸の東半分を
すでに制覇した。
今、ロマリア諸国に
進軍している。
我々の帝軍は、
最小限の犠牲で、
相手国に無条件降伏を促す。
そのためには
見せしめが必要だ。
この、ミカエル山は
数百年の間、
何度も敵襲を受けたが、
陥落したことは一度もない。
そのミカエル山が
落ちたとなれば、
ロマリア諸国は
震え上がるだろう。
だが、おまえは殺さない。
おまえには能力がある。
我々のために
働いてもらおう。
そして、
おまえは美しいからな。」
俺は必死で理性を
呼び戻そうとしていた。
二百騎の軍勢・・・
皆殺し・・・
大変なことが、
起こっているのか?
俺はなんとか体を起こした。
「おまえは
斥候だったんだな。」
体がやけに重かった。
俺は立ち上がって、
部屋を出ようとした。
皆に知らせなければ。
「待ちなさい。」
無名が言った。
「おまえは助けてやると
言っているんだぞ。」
「そんなことが呑めるか」
「では、条件をつけよう。
おまえがこのことを
誰にも話さなければ、
おまえの
又三郎は助けてやる。
誰かに話したら、
又三郎は
我が軍の野蛮な連中どもの
餌食となって辱めを受け、
無残に殺されるだろう。
おまえが黙っていれば、
又三郎の身は保障しよう。」
俺は喉を詰まらせながら
やっと言葉を搾り出した。
「おまえに、
そんな権限はあるのか?!
ただの斥候じゃないか!」
その時、
窓辺にうずくまっていた
シノープが頭をこちらに
ぐるりと180度回転させ、
ゆっくりと目を開いた。
そっとかき分けた。
そしてまた
耳元にささやきかけた。
「我々の帝軍は、
大陸の東半分を
すでに制覇した。
今、ロマリア諸国に
進軍している。
我々の帝軍は、
最小限の犠牲で、
相手国に無条件降伏を促す。
そのためには
見せしめが必要だ。
この、ミカエル山は
数百年の間、
何度も敵襲を受けたが、
陥落したことは一度もない。
そのミカエル山が
落ちたとなれば、
ロマリア諸国は
震え上がるだろう。
だが、おまえは殺さない。
おまえには能力がある。
我々のために
働いてもらおう。
そして、
おまえは美しいからな。」
俺は必死で理性を
呼び戻そうとしていた。
二百騎の軍勢・・・
皆殺し・・・
大変なことが、
起こっているのか?
俺はなんとか体を起こした。
「おまえは
斥候だったんだな。」
体がやけに重かった。
俺は立ち上がって、
部屋を出ようとした。
皆に知らせなければ。
「待ちなさい。」
無名が言った。
「おまえは助けてやると
言っているんだぞ。」
「そんなことが呑めるか」
「では、条件をつけよう。
おまえがこのことを
誰にも話さなければ、
おまえの
又三郎は助けてやる。
誰かに話したら、
又三郎は
我が軍の野蛮な連中どもの
餌食となって辱めを受け、
無残に殺されるだろう。
おまえが黙っていれば、
又三郎の身は保障しよう。」
俺は喉を詰まらせながら
やっと言葉を搾り出した。
「おまえに、
そんな権限はあるのか?!
ただの斥候じゃないか!」
その時、
窓辺にうずくまっていた
シノープが頭をこちらに
ぐるりと180度回転させ、
ゆっくりと目を開いた。