「あいつはシンラから留学してきてるんだ。国じゃそうとう優秀なんだろうな。
ここでも、最年少で執行になった。つまり、俺らの監視役ってわけ。
攻撃魔法も、回復魔法も、最上級を修めてて、剣術も上段。
信仰も深い。でもうるさいから俺きらいだ。」

「へえ。そうか。なんだかここへ来て、はじめてちゃんとした奴に会ったよ。」

「クソ真面目なだけだろ」

「ちゃんとした奴ってきらわれるんだな」

二人で爆笑になった。

「また怒られるぞ」

声を殺して笑うが、それがまたおかしくて犬のようにひいひい言って
涙が出てきた。




就寝時間。
二段ベッドの上段と天井の隙間に入り込んだ。

(疲れたなあ。)

体を横たえると、腕と腕の間の空間にすっと暖かいものが滑り込んでくる。

(q、ここでの生活なかなか楽しそうだよ。)

(そうだね。)

(いろいろやることたくさんあって、わくわくする。
へんな奴もいっぱいいて面白い。)

(あの、ニコルってやつ、男前だね。)

(ニコル!?あのいけ好かない野郎?)

(でもかっこよかったな、剣術やってるとき。
くく。ミゲーレはからきしだったけど。)

(おまえ、悪趣味だよな。)

(ミゲーレ妬いてるの?)

(何いってんのおまえ)

廊下からこちらにやってくる足音が聞こえてきた。
この部屋に何者か入ってきた。

ぬっと、ベッドをのぞく顔に肝をひやす。
大男の剛力だ。

「ミゲーレ、飲みに行こう」

小声で言った。

「飲みにって、金は?」

「心配いらない。」

剛力は隣のベッド下段に寝ているせむしを確認した。

「よし。せむしはすやすや眠ってるな。さ、行こう。」

誘われるまま、抜け出した。