俺はぼんやりと
回廊をめぐっていた。
しばらくすると
夕食の片付けを終えた
又三郎がやって来た。
「おつかれ。」
きわめて低い声で
俺は言った。
ここでしゃべっていると
怒られるからだ。
トラビスを叱る者は
いないが。
又三郎はすぐに
くちづけを求めてきた。
思春期の又三郎の
性欲は旺盛だった。
「おまえは、貞潔って、
どう捉えてるの?」
たずねてみる。
「謝ってる。」
又三郎もまた、
小声で答えた。
「神様、
ごめんなさいって。」
「毎回?」
「うん。いつもいつも。
礼拝の時も、
し終わった後も。
百回くらい謝ってる。」
俺は腹の底から
笑いがこみ上げてきた。
「なんで笑うんだよ。」
声を殺して又三郎が言う。
俺はひとしきり笑ってから、
涙をふいた。
「謝るくらいなら、
やらなきゃいいだろ。」
又三郎は
ふくれっつらをした。
「だって、
がまんできないもの。」
俺は又三郎を
ぎゅっと抱いて
すぐに放した。
「神様は
まちがえちゃったんだよ。」
「何をよ?」
又三郎は
すたすた歩いていく。
俺は追った。
「僕に男の体を
与えたこと。」
「そうかな。」
「婚礼で結ばれた
男女においては
性交渉は許されている。
だけどさ、
僕がミゲーレを
いくら好きだって
結婚なんか
できないじゃないか。」
又三郎はなかば
開き直った様子で言った。
「俺は
男であるおまえが
好きだよ。」
俺がそう言うと、
又三郎は俺を抱いた。
そのままの姿勢で
話した。
「ミゲーレは、
罪を犯してると思わない?」
又三郎は
屹立した摩羅を
俺の体に当てた。
「俺は罪を犯してるとは
思ってない。
ここのみんなの
考え方とは
ちがうかもしれないけど。」
俺は又三郎の
背中をなでながら話した。
「俺は全てをみとめたいから。
いいことも、わるいことも。
自分の欲望も
無理に抑えようとは思わない。」
俺が軽く背をたたくと、
又三郎は俺から体を離した。
そして自分の摩羅の
位置を整えた。
「全てをみとめるなんて、
そんなこと、できたらいいね。」
俺は又三郎の
後頭部を力強くなでて言った。
「なかなかできないけどな。」
回廊をめぐっていた。
しばらくすると
夕食の片付けを終えた
又三郎がやって来た。
「おつかれ。」
きわめて低い声で
俺は言った。
ここでしゃべっていると
怒られるからだ。
トラビスを叱る者は
いないが。
又三郎はすぐに
くちづけを求めてきた。
思春期の又三郎の
性欲は旺盛だった。
「おまえは、貞潔って、
どう捉えてるの?」
たずねてみる。
「謝ってる。」
又三郎もまた、
小声で答えた。
「神様、
ごめんなさいって。」
「毎回?」
「うん。いつもいつも。
礼拝の時も、
し終わった後も。
百回くらい謝ってる。」
俺は腹の底から
笑いがこみ上げてきた。
「なんで笑うんだよ。」
声を殺して又三郎が言う。
俺はひとしきり笑ってから、
涙をふいた。
「謝るくらいなら、
やらなきゃいいだろ。」
又三郎は
ふくれっつらをした。
「だって、
がまんできないもの。」
俺は又三郎を
ぎゅっと抱いて
すぐに放した。
「神様は
まちがえちゃったんだよ。」
「何をよ?」
又三郎は
すたすた歩いていく。
俺は追った。
「僕に男の体を
与えたこと。」
「そうかな。」
「婚礼で結ばれた
男女においては
性交渉は許されている。
だけどさ、
僕がミゲーレを
いくら好きだって
結婚なんか
できないじゃないか。」
又三郎はなかば
開き直った様子で言った。
「俺は
男であるおまえが
好きだよ。」
俺がそう言うと、
又三郎は俺を抱いた。
そのままの姿勢で
話した。
「ミゲーレは、
罪を犯してると思わない?」
又三郎は
屹立した摩羅を
俺の体に当てた。
「俺は罪を犯してるとは
思ってない。
ここのみんなの
考え方とは
ちがうかもしれないけど。」
俺は又三郎の
背中をなでながら話した。
「俺は全てをみとめたいから。
いいことも、わるいことも。
自分の欲望も
無理に抑えようとは思わない。」
俺が軽く背をたたくと、
又三郎は俺から体を離した。
そして自分の摩羅の
位置を整えた。
「全てをみとめるなんて、
そんなこと、できたらいいね。」
俺は又三郎の
後頭部を力強くなでて言った。
「なかなかできないけどな。」