加速。加速。加速。
激しく摩擦するチェーンが、突風さながらの音をたてている。
全力で自転車をこぐ俺の横を、猛スピードで景色が駆け抜けていく。
思えば、ユイと過ごした日々もこんな感じだったのかもしれない。
あまりにも毎日が早すぎて、過ごした時間が長すぎて、俺たちの目が捉えきれなかったものはたぶん数知れない。
だけどふたりが通ってきた道は、途切れることなく続いてきた。そしてきっと、これからも続いていく。
今、俺は熱い恋心をハッキリと胸に抱き、ユイへと向かって走ってるのだ。
そう、自分の足で、ペダルをこいで。
急げ、俺。目的地は学校!
* * *
長い一本道をひたすら漕ぎ進むと、前方に校舎が見えてきた。夜の闇に佇むその姿はどこか仰々しく要塞のようだ。
俺は猛スピードのままで校門前に突進する。そしてぶつかる寸前で急ブレーキ。
地面の砂でタイヤが滑り、止まりきれず壁に激突するが俺はまったく気にしない。