今、ユイはきっとあの時みたいに不安な気持ちでいるんだろう。

今度こそ俺は、ユイを泣かせてあげなくてはいけない。

俺の胸で、ユイの涙とか鼻水とか、その他もろもろを受け止めてあげなくてはいけないんだ――。


決意を新たにした俺は、再び自転車を走らせた。商店街。コンビニ。だけどあいつの姿はどこにもない。

……どこにいるんだよ。ユイ。

自転車を止め、スマホでユイの番号を呼び出して電話をかける。


「おかけになった電話は、電波の届かない地域にいるか……」


ちくしょう!!

イラだつ気持ちとは裏腹に、手がかりはまったく掴めない。ユイからのメールをもう一度見てみるが、やはり意味不明だ。


【都市四室と四個められた助けて】


都市?
こんな田舎町に都市なんかねーぞ?
いったい、何を伝えようとしたんだ?
それにどうして電話が繋がらない?
まさか、もう充電が切れてしまったのか?

とめどなく浮かび上がるのは疑問ばかりで、答えはちっとも浮かんでこない。

どうすればいい?
いったい、どうすれば――


「コータ!」


背後から女の声で呼ばれ、俺は驚いて振り返った。