ほんっと最低。あんな男を頼ろうと思ったわたしがバカだった。
おまけに貴重な充電を消費しちゃって、踏んだり蹴ったりだ。
充電が残り5%を切っていることを考えると、まずは自力で頑張ってみる方がいいだろう。わたしは図書室の窓を開けると、あたりを見回した。
ここは3階。裏庭の植物が眼下に広がるだけで、あとはひたすら暗闇と、星さえも見えない曇った夜空。
なんとかして、ここから出られないだろうか。
……無理だな。手すりも何もない。窓の周辺を確かめてみても、足場になりそうな場所すらない。
わたしはため息をつき、視線を落とした。
裏庭を覆いつくす植物は、闇に隠れて息をひそめている。
きれいに植えられたツツジの木も、卒業生が残した記念碑も、鯉の泳ぐ池も。夜に塗りつぶされて、色彩を失っている。
こんな圧倒的な夜を前にすると、わたしが昼間に見ている景色なんか本当は嘘で、実際は全てに色なんかなかったんじゃないか。そんな奇妙な不安すら芽生えてくる。