◇ side.Yui ◇
最っっ低! 何なの、あいつ!
夜の図書室でひとり憤慨し、スマホを握りしめるわたし。
さっき不覚にもあふれた涙は、すーっと冷めていくように止まった。今は、怒りの感情がわたしの中で暴れるだけだ。
「もう知らない……あんなやつ、絶交してやる!」
充電の残りが5%になったスマホを、忌々しい気持ちで見つめながら叫んだ。
図書室に閉じこめられたわたしが、カナエに電話をかけたのは今から半時間ほど前。だけど彼氏とカラオケデート中のカナエは、着信に気づいてくれなかった。
その後に電話したのは自宅。でも共働きの両親はまだ帰宅していなくて、あえなく撃沈。
そうして仕方なく助けを求めたのが、悔しいけれどコータだった。
いきなり電話をするのは癪だから、最初はメールを送った。が、残り少ない充電に焦れば焦るほど、うまく入力できず意味不明の怪文を送ってしまう始末。
案の定コータからの返信はなく、わたしは観念して電話をかけたのだ。
……ところが、コータの声を聞いたとたん、不覚にも気がゆるんで泣いてしまって。
あいつの前で泣くのなんか絶対イヤなのに、涙は全然止まってくれなくて。
それをあのバカコータのやつ、あろうことか笑いやがった!!