あの日、わたしが不覚にも恋に落ちてしまったのは、雪のせいだったと思う。


もしもあれが夏なら、あいつを好きになんてならなかった。暑苦しくて手をつなぐのすら嫌だっただろうし、それは春でも、たぶん同じ。


秋なら? きっと、すぐに別の人を好きになってた。乙女心と秋の空、なんて言うくらいだもん。



だけどあの日―――
ちょうど1年前の、2月のあの日。

雪降る公園のベンチは、あまりにも寒くて。

ふいに触れたあいつの手の温かさを、わたしは恋と勘違いしちゃったんだと思う。




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