「………」


先輩は何も言わない。


あたしは、腕に力を入れて
先輩をもっと、強く抱き締めた。


「先輩……っ」


辛そうな先輩を見ると
何だか、あたしまで辛くなる。


すると、ゆっくり先輩が口を開いた。


「……失恋って、こんなに辛いのかな」


先輩……
好きな人いたんだ…
失恋…したんだ…


先輩を想うからこそ
あたしの心情は、複雑だった一。


先輩に幸せになってほしいという想いと

先輩が失恋してよかった、という想い…


どちらも、あたしの本当の気持ち…