伊織から次々と過去が話された。
紫苑を途中まで育てたが、コイツが生まれた後、全く相手にされずに育った紫苑。
だけど、母親が面倒を見るのに限界を感じ、紫苑を捨てたらしい。
伊織が3歳になったとき、母親は捨てたことを後悔して亡くなってしまった。

その後父親が育て、5歳のときから姉がいたことを話され続けたという。
父親も母親同然、紫苑を捨てたことに罪悪感と後悔がまだあるらしい。

姉が気になった伊織は、中学のときに施設の前を通って、紫苑を見つけた。
自分の姉がどんな風に育ったのかは、自分はわからなかったけど、幸せそうなオーラを感じたという。



「俺の知ってる限り、両親は宮古先輩に罪悪感を凄く感じてます。自分勝手な行動が、あの子を不幸にさせたといつも悔やんでました」

「不倫して、その不倫相手の子供もいるけどね。最低な親だよね」

「浮気のことも、天海先輩のことも、宮古先輩が姉であることも、全部!全部、聞いたんです!全て、自分がいけないんだって」

「紫苑、大丈夫か?」

「…悪い、今日は帰るよ…」

「宮古先輩!父は先輩に謝りたいんです!今までのこと全部!」



紫苑は暗い顔をしたまま、ロビーを後にした。