「泣くなよ」

「あんただって、泣いてんじゃん…っ」


お互い、涙を流してた。
俺は小さい子をあやすように、紫苑の頭を撫でた。
紫苑は、何時もみたいに子供扱いするなと噛みついてきて。
懐かしい気持ちになった。


「…紫苑?」

「…律、好きだ。あの時から時間が止まってても、私は律が好きだ!」

「…んなの、わかってんだよ…。俺だって、お前のことずっと好きだ。出会ったときからずっと」


お互い顔を見合わせた。
ボロクソに泣いてると俺の顔を見て、律の方が子供だよって、泣きながら笑って。
俺は癖だった、紫苑の髪をいじりながら、紫苑の顔を見続けた。
見てると、紫苑が薄くなってるのに気づいた。