抱きしめたら感覚があった。


「寂しかったんだ?」

「ああ、お前がいなくて…」


抱きしめれば、抱きしめ返してくれる。
これは、夢なのか?


「紫苑は未練ないのかよ…」

「ないよ。私にあったら、律にまで残るから」


こんなに沢山話す紫苑が。
笑顔を見せてくれる紫苑が。
俺の腕の中にいる。


「未練を捨てろしか言ってない。忘れるなとは言ってないよ」