あのプリン騒ぎから一週間。
三日空いてから、紫苑の病室に尋ねることが多くなっていた。

早く学校が終わったから、今日は紫苑に会いに行ける。
少しうきうきしていた矢先。

―ピロ〜ン

電話がなった。
ディスプレイには、伊織の字が示されていた。
こんな時間になんだよ。


「伊織か、なんかあっ「先輩、姉さんが!!」

「あ?紫苑…?」


最初はピンと来なかった。
だけど数秒経つと、伊織が慌ててる理由がわかった。


「すぐに行く!」


そう言って、俺は学校を飛び出した。
紫苑がヤバイ。
俺が着くまでに、くたばんなよな!!
俺は紫苑がいない世界なんて、信じられないからな!


…―


―バンッ


「成瀬君!」

「先輩!」

「はぁはぁはぁ…紫苑は…」

「もう保たないって!」


俺は紫苑に駆け寄った。
目に映るのは、酸素マスクをして、もうすぐ逝きそうな紫苑。
死神に魂を狩られそうな状態。
…まだ、死神になんかに紫苑を渡すか!
そう思いながら、必死に話しかけた。
話しかけないと、意識を持ってかれそうだったから。


「紫苑、まだ死ぬなよ!?」

「…り…つ…」

「まだ逝かせない!だって、お前…約束果たしてないじゃん!!」

「…ゴメ、ン…無理…」

「なんでだよ!お前、俺にドレス姿見せるって言ったじゃねぇか!!」

「…無理…だ、て…」

「お前から約束破んのかよ!?人のプロポーズ無駄にすんのか!!」

「…治せ、て…無茶…」

「なんでだよ…なんでだよ!!バカ紫苑!」

「……」

「なんとか、なんとか言えよ…っ」

「…ゴメン…」

「俺…お前がいない世界なんて、いらないんだよ…。俺には紫苑が必要なんだよ!」


な、紫苑…。
頼むから逝かないで…。
俺を一人にしないで…。
俺にはお前しかいないんだ…。
お前が俺の支えなんだよ…。
お前がいなかったら、俺はどうすればいい…?