…なんでいんだよ。
見舞いしたなら、さっさと帰れよ。
ぶつぶつ文句を言っていると、俺を撫でる兄貴。
「本人から聞いた。時間ないんだってな」
「ああ」
「そのことで困ってるなら、姫の為に出来ることしてやれよ」
「…わかってる…」
1番わかってる!
あいつが今、すげぇ辛いのわかってる…。
だから、あいつの為にしてやれること、今ここで考えてんだよ!
だけど、全然浮かばんなくて。
困ってるんだよ。
「傍にいてやるのが、1番妥当な線だと思うぜ」
俯いてる俺に、兄貴はぽろっと言う。
「…そのつもりだ…!」
顔を上げて、兄貴に向かって吐き捨てた。
紫苑は俺の婚約者だぜ?
そんな奴の傍にいねぇなんて、論外なんだよ!
だから、俺は、兄貴に言われる前に、さっさとあいつの傍に行くんだよ!!
「俺、行ってくる!」
「いってら」
俺は、その場から走り去った。
猛ダッシュで、紫苑の病室に向かった。