律side


「着いてくよ。お前一人じゃ心配だしな」

「ありがと」


紫苑が実の父親に会いに行くらしい。
理由は、会ってみたいだからだとか。
適当な理由だよな。


「律?」

「あ?ああ、ゴメン」

「なんかあった?」


クス。
紫苑はホントッに、勘が鋭いな。

「…紫苑、病気治ったら…」

「治ったら?」

「………結婚しよ…?」

「は…?結婚?」

「ああ。離れ離れなんて、俺絶えられない。だから、結婚すれば、毎日側にいられる」

「…いかなり、過ぎだよ…」


困り果てる紫苑。
そりゃそうだ。
いきなり過ぎるよな。
でも、今…今…言いたかったんだ。
何時も、俺ばっか忙しくて、紫苑と一緒にいてやれない。
そんなことが何時もで。
紫苑が苦しんでるとき、俺は側にいられなくて。
1番の理解者が、全然理解出来てなくて。
だから、紫苑が病気になってたこともわかんなくて。
俺、情けないんだ。
恋人で親友で理解者なのに、全然気づいてやれてないことが…凄く情けない…!