爪が首に食い込む。
私は既に抵抗をやめていた。
勝てないよ。
嫉妬の塊で出来たこの子に。


「早く…早く…早く!!!!」


律…限界…だ…。


「り…つ…」

「紫苑!!!!」

「姉さん!!」


律と伊織…?
…ま…どうでもいいや…。


―ドサリッ


「紫苑!紫苑!」

「姉さん!!…お前…姉さんに…!!」

「…あたしは…あたしはっ、あたしは何も悪くない!!」

「伊織救急車呼べ、早く!!」


…―



律side


「意識は戻ったって」

「ああ…」

「律先輩…」


紫苑を見つけたとき、紫苑は既に意識はなかった。
危うく死ぬとこだった。

トイレに行った二人がやけに遅くて、探し回ってたら、首を絞めてる榊が見えて。
…紫苑が何したってんだよ。


「すいませんでした…」

「お前のせいじゃねぇよ」

「あの…姉さんのバックから…薬の…」

「あ?…なんだよそれ」

「心臓の薬らしいんです。…姉さんはまだ、病気が治ってないんじゃないですか…?」


…病気が治ってない?
嘘だ、医者は治ったから退院を許したんじゃなかったのか?
まさか、本気で治ってないから、大量に薬乗んでんのか?
…そういやー、朝から顔色悪かったし、辛そうだった。
気になる…ホントのことが。


「…天海か、今すぐ〇△病院に来てくれ。お前に話しがある」

「先輩、呼び出してどうするんですか」

「あいつに話しを聞く」


今の俺には、それしか出来ない。
榊が紫苑を殺そうとしても、そんなことどうでもいい。
俺が知りたいのは、病気がどうなってて、紫苑はどんな状況なのかを俺は知りたい。
紫苑はどうせ話そうとはしないだろうから、天海に聞いた方が早い。