「はぁはぁはぁ…苦しい…っ」
ただ、家に帰って来ただけなのに。
走ってもないのになんで、こんなに息苦しいの…?
すごく、胸を締め付けられる感覚。
少しでも動こうとすると、心臓に針が刺さったみたいに痛い。
手術したものの、胸の痛みは消えない。
消えないというより、酷くなってると思う。
学校からここまで帰ると、めちゃめちゃ痛くなる。
最近まで我慢できるくらいだったけど、ここ二日間ぐらいは、とてつもなくヤバイ。
―ピロ〜ン
メール…?
こんなときに誰だよ。
苛立ちと痛みのせいで、機嫌の悪い私は、乱暴に携帯を開けた。
送信者は伊織。
今週末にWデート行こう…?
あの子と行くの…?
…私…パスりたい…。
―ピロ〜ン
またメールが来た。
今度は律から。
律からのメールは、伊織達とのデート。
律は行く気満々…だよね…この文章だとね…。
…律に言われると、私断れない〜っ…。
…ま、一応行くって返しちゃえ。
ドタキャンすればいいし。
…―
「おはようございま〜す♪」
「姉さん、先輩おはよ!」
「オス」
「……」
私…ドタキャンしようと思ったら…出来なかった…!!!!!!
昨日寝ちゃってメールしなかった。
朝起きたら、律が施設にいた。
てなことで、今に至ります…。
はぁ…痛み止めは持って来てるんだけど、この女と行くの嫌なんだよ〜っ。
最悪だ…ホントに…。
「遊園地行きましょうよ♪あ、あたし、榊 真央って言います!真央って呼んでくださいね♪」
「…あ、ああ…」
律の顔が引き攣ってる…。
確か…律もあんな子苦手なんだっけ(笑)。
忘れてた、忘れてた!
「ゴメン姉さん。あいつがどうしても行きたいって言うから…」
私に謝ってくる伊織。
伊織は私の好き嫌いを知ってるから、ちゃんと謝る。
でも、頼まれたからって私を誘うなバカ。