「たくっ、急に動くから、頭痛くなったんじゃねぇか?」
「うん…」
しかめっ面で頭を押さえていると、結城くんがポンポンと自分の肩を叩く。
「寄りかかってて、いーから」
「ゃ、でも、肩こらない?」
「年寄りかよ」
ハハッと笑いながら、あたしの頭をぐいっと肩につける。
「気にしなくていーから」
そのしぐさも言葉もさ全部が優しくて、嬉しくて、顔が緩んでしまう。
ふっと窓から外を見て、あたしは焦りだす。
「ゆっ、結城くんっ!!」
「なに?」
「結城くんの降りるバス停、とっくに過ぎてるよ!?」
「あぁ」
結城くんの降りるバス停どころか、黎くんの降りるバス停もとっくに過ぎている。