「まさか…恋煩いとか?」
「うぇっ!?」

ガッターンッ

びっくりしすぎて、立ち上がったらイスが後ろに倒れてしまった。

「え…まさかのあたり?」
「や、そのえっと…」

そう、まさかのあたり。

「あたりみたいねぇ」

紫穂ちゃんの目がキラーンと、光ったような気がした。

「だれ?」
「へ?」
「だれって言ってんの」

だれって言われても…。

「わかんない」
「は?」
「名前とかわかんない」

あたしが恋をしたのは、バスでみた男の子。
そのことを、全部紫穂ちゃんに報告すると、

「へぇ、バスでねぇ」
「うん」
「どこの高校?」
「たぶん、双葉学園」
「すぐそこじゃない!」
「うん」