「お嬢さんたち、わざわざありがとうねぇ」
「いぃえ、大丈夫ですか?」
「えぇ」

おばあさんが座ると、アナウンスが流れた。

『桜ノ学園前、桜ノ学園前』

「あ、じゃあね、結城くん。ありがとう」
「あぁ、またな」

バスを降り、振り返り、手を振る。

校門に向かうため、足を動かすと、声をかけられた。

「あの」
「あ…」

声をかけてきたのは、バスで頭を下げた男の子。

「えっと」
「あ、さっきはしみませんでした」

戸惑うあたしに、また頭を下げる。

「な、なにが?」
「バスん中で、ちょっと騒いでたから」