あたしは、その人たちのところに足を動かす。

「おい、桃宮?」

その男たちのところまで、行って声をかける。

「あの」

声をかけると、一斉にこっちをみた。

「ここはバスの中です。少し静かにしたほうがいいですよ?」
「は?」

感じの悪い言い方かもしれないけど、あたしは笑顔で言葉を続ける。

「それと、目の前お年寄りの方がいるんだから、席を譲ってあげてください」

ちょっとチャラい男の子たちは、じっとあたしを見ている。あたしも、見つめ返す。

1分くらいたったとき、1人の子が

「うっせーな」

そう言って、ほっとこみたいなふうに、また話し出す。