「ねぇ、海斗」 「ん?」 「雫がいなくなったのね…」 「ダンスの時に、結城くんが姫役の子に笑いかけた、あとからなんだよね…」 「…そーゆーことですか」 絶対迷子だろ…。 嫌なこと、考えないために、どんくさいから、という考えで自分を安心させる。 桃宮を探すために、ひたすら足を動かす。 だからその会話は、走る俺の耳には届いていない。