でも、桃宮はいない。

「あれ?」
「どーしたんだ?」

困ったように、キョロキョロと辺りをみる。

「雫、いないの?」
「雫ちゃん?きてねーよ」
「どこ行ったのかしら…」

困ったように、俯く有栖川にたずねる。

「いなくなったのか?」
「うん、さっきまで一緒にいたんだけど…。気づいたらどこにもいなくて…」

どこいったんだ…?

そう思った時

「プリンス喫茶、これにて終了いたしまーす!」

えー、と言う声があがる。

「…海斗」
「ん?」
「も、自由時間でいいか…?」
「あぁ、いいけど」

その返事を合図に、走り出す。

「おい!薫っ!?」

呼ぶ、海斗の声が聞こえたが、構わず走る。