それから、王子役の衣装やら、教室の飾り付けやらで、あっというまに、
文化祭当日――。
「いっらしゃいませ。プリンス喫茶にようこそ」
教室は城をイメージしているから、メイドやら執事の格好をしたクラスメイトが客をむかえる。
俺は今控え室。
「まじで出たくねぇ…」
こんなはずい格好で人前に出ると思うと、本気で帰りたくなる。
ボソッと呟いたのを聞いた、海斗がつっかかってくる。
「なーに言ってんだ!お前が主役のプリンスなんだから、でなきゃだめだろ」
「お前だって、王子の格好してんじゃねーか」
「俺は脇役、お前は主役!!」
「意味わかんねー」
そう、王子の格好をしているのは、俺だけじゃない。
呼び込み役、俺が出るまでの繋ぎなど、数人が王子の格好をしている。
海斗は自分で脇役とか言ったけど、実際は俺が1日目で海斗が2日目。そんな感じだ。