「んで、行くのか?」
「い、行く!行きます!!」
元気よく返事すると、フッと笑って
「じゃ、誰か誘っとけよ?」
「うん!」
『桜ノ学園前、桜ノ学園前』
「じゃあ、また明日」
「あぁ」
そう言って、バスを降り見送る。バスが見えなくなると、我に返った。
あたし…とんでもない約束しちゃった気がする…。
人生初、友達を誘っての、初めての男の子とのデート―――。
「はよ、雫…ってどしたの?」
「おはよ、紫穂ちゃん。?なにが?」
「顔。尋常じゃないくらい真っ赤よ?」
そう言われて、自分の顔が赤いことに気がつく。原因なんてわかってる、彼との約束。思い出すと、また顔が赤くなっていくのがわかった。
「うー、紫穂ちゃーん」
ガバッっと抱きつこうとすると、ひょいっと避けられた。
「イジワル…」
「この暑いときに、暑苦しいことしないでよ」
「ごめんなさい…」
「で、なにがあったの?」
「それが」と言おうとしたら、予鈴が鳴った。遅刻になるということで、話は昼休みに、ということになった。