☆薫SIDE☆
「麻希…」
受話器とくっついている、画面に映っているのは、幼なじみの麻希。
そこまではいい。
ただ、なんでこいつが来るんだ?
俺は今、桃宮と送るか、送らないかで軽くもめていた。
その途中、インターホンが鳴った。
そして今、画面に映っている幼なじみ。
意味がわからない。
『…薫?』
受話器の向こうからの声で、ハッとわれにかえる。
「あ、あぁ」
いきなり来た麻希に、動揺を隠そうと平然をよそう。
「いきなり、なんだ?」
少し冷たく言うと、間をおいて麻希が口を開く。
『…ちょっと、用があって。今いい?』
今…。
今家には桃宮が来ている。
だからといって、追い出すわけにも…。
「あぁ。…開けるわ」