♪雫SIdE♪
想いは、近づけば離れていく。
一歩近づけば、一歩離れる。
そんなのの、繰り返し…。
夕方。
昼食を食べて泣いた後、結城くんは「寝れねぇ」と言ってずっと起きている。
全く眠くないらしく、あたしたちはずっとおしゃべりしていた。
楽しい時間はあっという間で、気づけば空はオレンジ色に染まっていた。
話の内容は、バスで話すようなたわいのない話。
少し楽しそうに話す結城くんにあ、あたしは頷きながらちょっとだけ頬を染める。
「でさ、海斗の蹴ったボールが変な方向に飛んでってさ…」
「どこに飛んでったの?」
「まさかの、校長室」
「あははっ」
「そんときの海斗の顔、忘れらんねぇんだよ」
「あははっ、見てみたかったなぁ」
結城くんは自分の事より、誰か他の人の話が多い。
でも、自分のことを話すより、どこか楽しそう。
…あたしは、結城くんの話も聞きたいんだけど。