雑炊を食べ終え、薬を飲んでいる結城くんと、小鍋を洗っているあたし。

バスの中、二人でいることは何度もあったけど、周りには人がいた。

改めて考えると、二人っきりはまだ、3回くらいだ。

二人っきり、という状況に、ドキドキして洗い物をしながら、顔が赤くなっていった。


お互い何も喋らなかったが、少しの沈黙を破ったのは結城くんだった。

「ありがとな」
「…え?」

沈黙の後の、第一声が“ありがとう”で意味がわからなかった。

「看病…とか。話、聞いてくれて…」

話という言葉に、少しドキッとしてしまった。

そして、直ぐにブンブンと首をふる。