小鍋を見ながら、ついさっきのことを思い出す。
あたしが、数十分して泣き止んだあと、結城くんが喋りだした。
「ありがとな、泣いてくれて」
どうして、そう言うのかわからなくて、フルフルと首をふった。
そんなあたしを見て、また、優しく笑った。
「お前が代わりに泣いてくれたみたいで、なんか、スッキリした」
そう言って、熱で赤くなっている顔で、ニッと小さく笑った。
笑って、すぐにこう言った。
「こんなに詳しく誰かに話したの、お前が初めてだわ」
顔をあげると、なんだか、嬉しそうな寂しそうな…、何を思っているのか、わからない表情をしていた。