そう思ったら、いてもたってもいられなくなって。

「海斗くんっ」

お礼、しなきゃ!

「結城くんの家、教えてっ」
『…もちろん』

あたしは結城くんの家の住所をきいて、教科書をカバンにつめた。

「志穂ちゃん!」
「ん?」
「あたし、早退するっ」
「…わかった」

携帯を返して、あたしは教室を飛び出した。


「海斗…」
『ん?』
「ありがとね」
『…こちらこそ』

全力で走る。
ちょうど来ていたバスに乗り込んだ。

息を整えて、顔をあげる。
バスの中には、まったく人はいない。

結城くんにお礼を、看病しなきゃ!。