「それじゃあ行ってきまーす」


「行ってらっしゃい、夏実さんと和樹さんによろしくね」


「分かった、伝えとく」




旅行当日の朝、あたしは結芽姉に見送られた。


そして、玄関から出た先には飛鳥。



あたしと飛鳥で待ち合わせ場所まで一緒に行くことにした。

…お互い方向音痴だからね。




「おはよ、飛鳥」


「はよ。
ん、ほら」


「え?何?」



飛鳥が自分の唇を指して何かを合図する。

あたしは分からずにキョトンとしていると、飛鳥はあたしに寄って、耳元で、



「おはようのキスだろ?」



と、低く甘い声で囁いてきた。