「嘘…!」
「…そんな…」
恵と美優は女性ということもあって、悲痛な声を出した。
「夏実さんが不妊症っていうのは十分辛いことだけど、
そのことと旅館の待遇といい、何か関係あるのか?」
祥に続いて清司と優もうなずいた。
「夏実さん、不妊症ではあるけど全然子供とか嫌いな人じゃなくて。
…昔、あたしとあたしのお姉ちゃんと、飛鳥と飛鳥のお兄ちゃんで夏実さん夫婦のところに遊びに行ったことがあるの。
その時の夏実さんの笑顔が凄く忘れられなくて。
「どうしてそんなに嬉しそうなの?」ってあたしは聞いたの。
そうしたら、夏実さん、
「私には子供がいないから、ゆずかちゃんや飛鳥くんたちが遊びにきてくれるのが嬉しいのよ」
…ってあたしに言ったの。
きっと夏実さんにとって、あたし達が遊びに行ったことで
『娘』や『息子』が出来たように嬉しかったんだと思う。
だから、この夏、
みんなで遊びに行って、夏実さんのこと、笑顔にさせてあげたいの。
あたし達、子供って年じゃないけど…」
あたしは今回の企画で、
どうして夏実さんに甘えたか、説明した。