「うん、あたしの同じ中学の友達が、けっこうな情報通で、入学1日目だってのに、もういろんなこと知ってんのっ!それで、希条って人知らないかって聞いたら、教えてくれたんだけど・・・・」

急に声のテンションを千依架は落とした。

「だけど・・・?」
「あんまり、印象いい感じの人じゃないみたいなの・・・」
「それって、どんな風に・・・」

もしかして、めちゃめちゃ変な人とかじゃないよね?
あんまりでも、多少ましなひとだよね?

あたしたちは歩き進めながらはなしをつづけた。

「聞いたところによると、けっこうイケメンって噂なの。」
「うん、」
「ただ、・・・あっ!!!!」
「こんどはなに?」
「あれ、あれが希条くん!」

渡り廊下に差し掛かっていたところで千依架が指差したのは、背が高くて確かに顔の整った男子だった。
しかも、女子と一緒。
あたしたち2人には気づいていないようで、仲良さげに話している。

「あれ、彼女さん?」
「違う。てか、そこがあの希条くんの問題点なのっ!」
「どーゆーこと?」

千依架の言う意味がよくわからないでいると、

♫~♪~♫

千依架の携帯がなった。

「あ、ごめん。あたしの携帯だ。しかも龍だっ!」
「出ておいでよ。」
「ごめん、ちょっと行ってくる!」

千依架が電話をかけに行っている間、あたしはその希条くんを観察していた。
気づかれないように・・・・
そして分かったこと。

①ちょっとナルシストっぽい
②仲のいい女子は一緒にいた子だけではないっぽい
③笑顔がうさんくさい

観察している間、代わる代わる女の子がやってきた。
その数3人。
しかも、スキンシップ激しいわ!

あんな奴が。。。。。。あんな奴とか言ったらいけんか・・・
でもさ、もうちょっとましな感じのひとがよかった。。。。
これから一緒に生活する人が、あんな女ったらしみたいじゃちょっと・・・