こんなところに来る女って言うのは基本、『淋しい』やつ。
だから風俗嬢がホストにハマるなんてのは鉄板。
身体張って稼いだ金をホストにつぎ込む、なんて話はそこかしこ。
金を持ったババァ達だって結局は他の男に相手にされなくなってここに来る。
だから、人気ホストに必要なのは顔じゃない。
でも話が上手いだけじゃ駄目だ。
どんだけ、そいつらの言葉に耳を傾けてやれるか。
聞き上手ってやつがここでは重要だ。
まぁ、イケメンに越したことはないけどな。
「へぇ、加奈子さんのお店で働いてるんですね」
加奈子さんって言うのは翼さんの隣に座ってる宝石商の女社長。
「そうなの。遥香ってジュエリーの趣味良くてうちの支店を任してるの。結構やり手よ?」
加奈子さんの声に「でしょうね」と答えて軽く微笑む。
「やめてよ、加奈子。でも、駄目ねぇ。自分で欲しくなっちゃうもの」
そう言って口元を押さえる指にはキラキラ光る大きなダイヤ。
すかさずそれも誉める。
誉めて煽てて・・・・・・。
お客様を女王様に。
それがホストの仕事。
相手がどんなに憎いやつでも、な。