「蓮夏の言った通り、こんな海もありだな!」




「でしょ!?」





沈黙が続くけど全然いやじゃない。






二人しかいないこの空間に風の音と波の音だけが響いている




なぜか不思議と心が休まって、身体からすーっと要らないものが出ていく感じがした。




けして綺麗とは言えないこの海と景色が神秘的に見えて、どんな季節よりも美しいのはなぜなんだろう。




この海を俺たちが二人じめしている気分になる。





「やっぱりきれいだね、海。灰色の空と黒い海がこんなにも綺麗だとは思わなかったよ…」




遠くを見つめながら、「うん」と蓮夏に小さく答える。





言葉を失うとはこんな時にも使うんじゃないだろうか。




今のおれは言葉もでなっかた。