だが 少女は 避けようともせず ただ冷淡に立っていた。
なぜなら 少女には ちゃんと周りが見えていたから。
ガシッ
そう音がした。
「…!?
てめぇっ!どういうつもりだ!?」
男性が 声を発する。
少女は静かに振り返った。
「こういうつもりだよ。」
そう。 そこにはあの青年が男性の振り下ろしたバットを掴んでいる姿があった。
「こういうつもりだと?
意味が分からねぇな……!」
「ははっ……!
俺はお前らみたいなクズじゃねぇ。
クスリになんか手ぇ出さねぇよ。」
「………どういうことだ?」
「…つまりだな。
俺は、お前らの族じゃねぇ。
う〜ん……
潜入捜査ってヤツかもな。」
青年は 確かにそう言った。
これには少女もビックリだった。
「…は?」
男性も意味が分かっていないようだった。
「つまりだな〜!
俺はお前らみたいなクズをぶっ潰すために仲間のフリをしていたんだよ。」
「んだと?」
「今すぐ、足洗うんだな。じゃねぇと、“レッドエンブレム”が黙っちゃいないぜ」