――――龍桜中学校。
それは とても有名な不良中学校だった。
「恵梨奈〜急げ〜!
入学してまだ、二ヶ月…
遅刻は早いだろ!!
……………そうでもねぇな」
私の家の前で騒ぐ男子。
名は 紀島 幸樹 (キシマコウキ)。
いわゆる幼なじみというヤツ。
そういう私は、
早乙女 恵梨奈 (サオトメエリナ)。
普通の中学生だ。
ただ…通っている学校が
超有名なヤンキー校ってだけ。
あ…あと私には 親がいない。
まぁ これくらい はどうってコトないよね?
うん。 普通。
私は 今まで自分にそう言い聞かせて生きてきたから。
普通が一番って。
「ごめんごめん!!
てか 幸樹…私らチャリ通じゃないじゃん?」
私の玄関の前でチャリに腰をかけている 幸樹に問いかける。
「ばぁか!
チャリがなきゃ、何でコンビニに飯買いにいくんだよ?」
………はぁ!?
「知ってた? 学校って給食出るんだよ?」
こんなコト…入学してから二ヶ月も経っているのだから知ってるのかと思ってた。
「……給食なんか不味くて食えねぇよ」
はぁ?