佳奈と薫はその場から離れた。

しかし、薫には気になることがあった。


あの声……どこかで聞いたことがある。

男は肉眼では認識出来ない速さで化け物を追い詰めていき、遂には化け物の胴体を一線した。


切られた化け物からは黒い煙のようなものが出始め、煙がなくなると同時に化け物は人間の姿に変わった。


「………」

突然の出来事に唖然としている二人の元に男が近寄ってきた。

「ケガはないか?」


あ!

薫は思い出した。

声の正体を。


男が面を取るのと同時に声をあげた。

「親父‼」


薫の目の前には鋭い目つきの奏雲がたっていた。


「え…と…井上君のお父さん…?」


佳奈は奏雲とは面識があったが、いつもの雰囲気とは全くちがっていた。